退董式に想う。

私の晋山結制を終えて半年後、5月31~6月1日に亘り、実兄の晋山結制が行われた。
なかでも、退董式(たいとうしき=住職退任式)も倂修された。

師匠が健在で晋山結制を行えることはもちろんのこと、師匠が住職を退任するという
難知難遇の法会ができたことを感謝している。
近隣の寺院では珍しいできごとでもある。(教区ご寺院も興味津津)

「退董上堂(たいとうじょうどう=退任にあたっての問答する式)をやってみたい」と口癖の
ように私たちに云っていた師匠。
それに応えるべく、一挙手一投足その法要すべてを我が弟子(孝祐)と綿密にコ-ディネ-ト
して今回を迎えたから感慨も一入である。

予行練習でも師匠の意気込みは伝わって来た。
本番の法語(法会中に云う言葉)やわずか3問ではあったが、心中を優しく的確な言葉で
諭してくれた。

住職60年表彰、総代からの送辞、孫・ひ孫からの記念品(花束)贈呈。
特に花束贈呈には母も並列させるサブライズも出来た。

あれだけ、新住職(兄弟子)から”本堂正面から出て行くことだけは止めて欲しい”と云われたが
都管老師のご慈慮と本人の意向からそのとおりになった。

行雲流水(こううんりゅうすい)、一修行僧の姿になった師匠のうしろ姿は清々しかった。
ご本尊様に一礼をして我が弟子と降りる本堂正面の階段を補佐して堂内すべての鐘や太鼓の
音に送られ、山門前で更に本堂に向って一礼して足を運んだ。

なんとも云えない師匠の真情と私の心情が交差した瞬間でもあった。
師の影を踏まずとはこのことか! うしろ姿が覚った。涙をこらえるのが辛かった。

福寿長久、法身堅固あらんことを・・・・・・・。