2005年頭所感

不惜身命(ふしゃくしんみょう)

新年あけましておめでとうございます。     

自然の猛威を改めて実感した昨年。台風に地震にと次から次へと襲い掛かってきました。
避難所生活の被災者を見ているとつくづく天地の道理を考えさせられ、人間の力が有限で
あることを時として思い知らされます。
お陰さまで、庫裡解体もお檀家さんの大威人力を
以って無事終えることができました。まさしく、これが不惜身命なのかと思いました。

第六十五代横綱に推挙された貴乃花は、使者の伝達の際に「力士として相撲道に不惜身命を
貫く所存でござます」と答えました。この言葉、不惜身命(ふじゃくしんみょう)と読む
仏教用語なのです。「仏法のためには命を惜しまず捧げる」ということであります。

近頃は、集団自殺や無差別殺人事件が相つぎ、やるせない憤りと恐怖に
満ちています。
不惜身命。命を惜しまないという言葉は、ともすれば危険な思想に走る可能性はあります。
戦争がそうです。国、民族、宗教の違いから各地で紛争によって痛ましい悲劇が繰り返され
ています。

我が曹洞宗開祖道元禅師さまは、
「この一日の身命は、尊ぶべき身命なり」と教えられています。

庫裡解体に捧げられました命、庫裡自体の命、自分の命、他の命をも尊重し、毎日の暮らしが
平穏無事であることを祈らずには居られなくなることだと思います。
「してやるのではない。させていただくのだ」とある人は云います。
そんな思いで今年も過ごしたいものです。
檀信徒皆様方のご多幸をお祈りします。