御身大切にて候

関ヶ原の戦い、佐和山城18万石を領していた石田三成は戦に敗れ近臣23人と
ともに、みじめな落武者として逃げ回らなくてはならない運命となった。
しかし遂に捕えられ、大津の家康の陣屋へと引かれる。そして遂に五条河原にて
切腹の命に従うことになった。
大津から五条の河原へ引かれていく途中、城中で忠勤を励んできた老女に会う。
老女の手にはお盆に載せた見事な柿、三成の御前に跪き涙ながらに云う。
「戦の常とは申せ、労しいお姿で私は生きた心地もございません。どうぞ立派に
最期をお遂げください。~それにつけても殿には日頃、柿が大好物 この世の名残
、こころゆくばかりのお好きな柿を召し上がってください・・・・」
三成は感慨無量の面持ちで
「婆よ、永年の忠勤、予は満足に思う。せっかく持参してくれた柿だが今は食べる訳
にはいかない~ 2・3日このかた腹を痛めているから、用心して控えることにいたそう」
「これから五条河原に於いて御切腹・・あと僅かな命ではございませんか。どうぞ最期の
柿、一つ召し上がって下さい」 と老女は泣き崩れながら懇願した。
「~いや三成の生きているうちが、忠勤の炎の燃えている姿、粗末に扱ってはならぬ
たいせつな身、生きているうちは生を満喫し、死の時は死に満足するのじゃ 婆よ
達者で暮らせ」と五条河原の設けの座で威風堂々と立派な最期を遂げられたのである。

私はこの三成の老女とのやりとりが大好きである。
命はあと数分後、好きな柿を食べずに体に悪いからと云って最期を全うする。
そんな三成の姿勢に感動感銘を享ける。

今月は春のお彼岸、ようやく雪も融け待ち望んだ春がやってくるのである。
自然に感謝、生きとし生けるもの全てに思いやり。
わが身もしかり・・・
そんなことを思うと2/25付け”和尚よ!どこへ行く”ブログにも書いたわが父の
人間ドックに感心し見習うところ大である。